ろーどおぶざなんちゃら
随分と錆びた掲載の指輪は、もう何年か前に自分で購入したものである。確か、初めて賞与を貰った時に、浮かれながら勇んで買ったのだった。
買った際のこの指輪は6つだった。
6連なる指輪で、これだけ有るならばと気後れせずに買った。今にして思えば、男らしくない保身的な買い方である。気に入ったから買った、で良いのに、これだけ有るならば無くしてもひとつは残るだろう、という情けない自分がいた。
ひとつ残るのが重要なのか、はたまたひとつ無くしてもいいと云う考えが駄目なのか、でも明確に言えることがある。
私はこの指輪をえらく気に入っている。
ともあれ、現在は3つまで減ってしまった。
ひとつは頂戴とせがまれあげたもの、ふたつは伊豆の海の中になくしたもの(ちなみに余りに楽しくて外すのを忘れたせいで、この時だいぶ錆びた。)、みっつは分からない。どこへやら。
よくもまあ、3つ残っていてくれてるものだ、その位にはよく身につけ、腕を振って歩いている。
仕事柄、就業中には着けられないが、基本的には鞄の指輪用のポケットにいる。そうまでしなくてよいのだが、何となく連れている。普段からそうしておけば、無くしにくいのではないかと思ったものが習慣となっただけである。
私に物を長持ちさせる術は無いが、永きに渡って使い潰す執念が、何故かある。
もう変えなよ、という意見に従った事がない。
革製品は、使い続けると味わいのある風合いになるが、使い続け過ぎると悲鳴をちゃんと上げる。
それを知ると、いつも新品のような、というバキバキでピカピカのようなサイクルで物を買うというスタイルが良いかもしれないが、肌に合わない。
さて、旅に行ってきました。
そんな大袈裟なものでなく、ゆるりと気ままにひとりで。温泉はやっぱり良い。とても贅沢な時間の使い方だ。温かい水に全身を浸し、やけに趣のある景色を眺め、気を張らず、だらけたいときにだらけ、向かいたい場所に向かう。
そうか、最高かよ。
後は財布が無傷なら、なんて。
寂しくないのか、なんて愚問。ひとりで行く良さとふたりで行く良さと複数で行く良さは全て似て非なるものです。
唯一、私が遅刻をしないので済むのは、ひとりで行動している時だけなのです。
恥の多い待ち合わせでした。
ちなみにどうしてだか、チェックアウトの時間に遅れた事は未だかつてありません。
ちゃんと朝食を食べ、朝風呂に浸かり、天気予報を確認し、時刻表を確認し、きちんと借りた部屋の整頓をし、軽いお礼を紳士に伝えて宿を後にします。仕事っぷりとはかけ離れた私がいます。
ですので、自室の風呂を温泉にしたら、私も生活が変わる気がしたので、仕事をしっかりこなし、その計画を実行しようと思います。
ビバ温泉。