色のついた瓶で中身まで
喉元まで屁理屈がやって来たけど、どうにか吐かずに飲み込んだ。その数秒間の沈黙で、悟ったようにあの娘は笑って、僕を窘めた。
そんなんだから、ダメなのよ
雷鳴みたいに記憶を瞬いた。
頼りないや、と洗濯機が蠢いた。ガタガタのエンジンで昨日を洗った。それを干すのだ、今日も。
不甲斐ないねえ、とポットが呟いた。グツグツと寂しさを温めた。それを飲み込むのだ、1人で。
ひっそりと、窓辺に置いた花瓶。
蕾から今にも飛び出そうとしている。この部屋で、花瓶に水をさすように、そろそろ起きたら?と言われる事は多かった。僕はまだ性懲りもなく寝坊しているようだ。
灰になるまで、笑ったり、泣いたりしたことの全部を記せるなら、それを幸せだとするなら、僕には何が足りないのだろう。孤独を、あくなき探求する日々を、それを、幸せにするのなら。
落書きが上手ね、と花を生けるように言ったあの娘との時間を、愛だ恋だと、するのなら。
雨が不意に跳ねる季節になりましたね。
傘など忘れぬよう、そして風邪などひかぬよう、自分とあなたに告げます。